遼くんは泣き顔がお好き。



学校が近くなるにつれ、
通学路を歩く足はどんどん重くなっていくような気がする。
肩にかけた鞄もいつもに増して重い。


朝から何度目かわからないため息をついた時、

「久原さんおはよ。」

真後ろから聞こえてきた声にビクッと肩が跳ねた。


「びっ…くりしたぁ…宮尾くんか、
おはよう」

「驚きすぎじゃね?大丈夫?
なんか後ろ姿消えそうだったけど」


眉を下げた宮尾くんに力無く笑い返してあいまいに頷く。
大丈夫?って、大丈夫なわけあるか。

本当は今日、すごく休みたかった。
だけど休んだらもう2度と学校に行けなくなりそうで、
どうにか身体を引き摺るようにして歩いてる。


「…こんな時に言うことじゃ無いかもしれないけど、
久原さんて案外言う時は言うんだな」

「え?」

「昨日ミカたちにはっきり言ったじゃん。
なんかあれ、かっこよかった。
事情はよく分からんけど、ミカたちの雰囲気最近あんま良くなかったから」

「…………」


そんなんじゃない。
ユアちゃんをかばったわけでもない。

ただ勝手に口が動いてただけで、
誰かを守るためとかそんなかっこいい理由であんなこと言ったわけじゃない。

何も言い返せず下を向くあたしの頭にポンと手を載せると、宮尾くんは笑った。


「ほら、行こ。」