遼くんは泣き顔がお好き。




目の前にいるこの男が、ミカちゃんやユアちゃんが仲違いするほどのイケメン…?

いや、

何かの間違いだ。


「おい、お前!いつまで触ってんだよ変態!」

「変態ー?何その言い草、ひどくねぇ?」

金縛りにあったように目を見開いたまま固まっていた宮尾くんは、はっとしたように目の前の男の肩に手をかける。
そのおかげでやっと顔から手が離れてほっと息をついた。


変態。
そうだ、この人変態なんだ。


早く離れないと。


「ねーなんで離れてくの、名前教えてよ」

「へ、変態に教える名前は無い!!」

「久原さん帰ろ!早く!」

「言っちゃったよこの人…宮尾くん勘弁してよ…」

「くはら、さん?へー、くはら何さん?」


あっごめん、名前言っちゃった!!
そう言いながら慌てる宮尾くんを置いてさっさと足を動かす。

早く家に帰りたい。
今日はもう疲れた。


「ねえ、くはら、何さん?」

耳元でまた声がする。
思わず振り向いてしまってすぐに後悔した。


「…玲維」

「れいちゃん?ふーん、可愛い名前。」


うっすらと茶色い目は街灯に照らされて、きらきらと光る。
その目に見られただけでどこにも逃げられないような、
そんな気がした。