遼くんは泣き顔がお好き。



「え、ちょっ、どうしよ……」

ボロボロと泣き続けるあたしを見て焦る宮尾くんには申し訳ないけど、
泣き止むことができない。

ゴシゴシと目をこすっても次から次へと涙がこぼれてくる。

もう一生涙が止まらないんじゃないか、そんなバカなことを考えたその時。


「え、なになに修羅場?」

やけに艶のある、低い声が耳に届いた。

涙で歪む視界に映ったのは整った顔。
長いまつ毛にやけに綺麗な白い肌、白い肌に映える真っ黒な髪。


美澄遼。

片方の口角を上げて笑うその顔は、憎たらしく歪んでいる。


「めっちゃ泣いてんじゃん、ヤバ…」

小さな声で、でも確実に聞こえるようにつぶやかれたその言葉に頭にカッと血が上る。


お門違いだってことは分かってる。
この人のせいじゃない、
これはあたしの八つ当たりでしかない。

分かってる、けど。



「……あんたのせいじゃんっ!
あんたのせいで、ミカちゃんもユアちゃんも…っ」

「おい久原さん、落ち着けって…」

「あんたのせいであたしはっ、」


そこまで言って、あたしの言葉は何も出てこなくなった。

当然だ。


この子のせいじゃないのに。