遼くんは泣き顔がお好き。



4月に入ってやっと暖かくなってきたかと思ったら、
ここ数日続いた雨。

常に空は灰色でどんよりしてるし桜はあっという間に散って地面に貼りついてるし、

まったくこの時期の雨はいいことなしだと思う。

ため息混じりに少し湿った前髪を指先でいじりながら、
重たい足を前に進めていく。


「れーーーいっ!
おはよぉ〜〜〜」

「ユアちゃん、おはよぉー」


間延びした声に振り向くと、ビニル傘越しに手を振るユアちゃんと目が合った。
雨の日だってのに、長い茶色の髪の毛は綺麗にくるくると巻かれている。
どうやったらこの湿度でその巻きキープできるわけ?


「ねーユアちゃんってなんのスプレー使ってんの?」

「スプレー?髪につけるやつのこと?
結愛が使ってるのはねぇー、美容院でオススメしてもらったやつで…」


なめらかに始まるどうでもいい世間話、
遠くから聞こえてくる学校のチャイム。


今日もまたいつもと変わらない一日が始まる。