遼くんは泣き顔がお好き。




「ほらほら早く、遅刻するよ!」

「あーーあ、俺なんで1年なんだろ。
2年生だったられいちゃんのことずっと眺めてられるのに」

「…アホなこと言ってないでほら早く!」


へいへい、と軽い返事をしてくるりと背を向ける。
次の瞬間また此方を振り返った遼くんは、
なぜかすごい勢いであたしの元へと戻ってきた。


「あのさ、さっき思ったんだけど。
俺れいちゃんの笑ってる顔1番好きかも」

「…はい?何よ急に…」

「なんかふと思ったから言ってみた!
そんだけ。じゃあまた休み時間にねぇ」


不意打ちで”好き”なんて言われたせいで、鏡を見なくても分かっちゃうくらいに顔は赤くなってると思う。


人の心をかき乱すことを平気で言って、マイペースに笑うその顔を見ているとちょっとだけ意地悪を言いたくなった。


「前は” 今んとこ泣き顔が1番好き”って言ってたけど?」

「泣いてる顔ももちろん好きに決まってんじゃん」

意地悪な質問に即答した遼くんは、それから身体を屈めてあたしの耳元で甘く囁いた。


「だからこれからも、笑ってる顔も泣いてる顔も沢山見せてね?」





_Fin.