あたしの言葉に応えるように、腰に回った腕にギュッと力が入るのが嬉しい。
首元で思い切り息を吸い込むと、柔らかい匂いがふわっと広がる。
遼くんの匂いだ。
しばらくの間そうやって引っ付いていたけど、
ふと気になったことがあって身体を離した。
「あのさ、遼くんってあたしのどこが好きなの?」
身体を離したことに不満そうだった顔つきは、
その言葉を聞いてきょとんとした表情に変わった。
「…何を今更」
「だって自分で言うのもなんだけど、初めて会ったあの時に好きになってもらう要素なさすぎて…!
…まさか本当に泣いた顔だけ好きだったとかそういうこと?」
「まあそれはそうなんだけど」
「え、あれ本当だったの?!」
「それだけじゃないから。
…そうだなぁ、俺には無いものをいっぱい持ってるところとかかな」
遼くんが持ってないもの…?
そんなものある?
少なくとも人望も外見も頭もあたしより上回ってると思うんだけど。
