「遼くんっ…!!」
改札にICカードをかざして、遼くんの元まで一直線に走る。
あたしに気づいた途端、それまでなんの表情も浮かべていなかった遼くんの顔がとろけるように笑顔を作った。
「うわ、えっぐい…」
「笑った顔やばすぎ」
遼くんを遠巻きに見つめていた女の子たちが思わずと言った様子で呟く。
その言葉に心の中で頷いた。
わかる、あの笑顔やばいよね。
なんかこう、突き刺さるんだよね何かが。
話しかけていた女の子に見向きもせずにあたしの元へやってきた遼くんは、相変わらずニコニコ笑っていた。
「…なんでそんな笑ってるの?」
「だって、れいちゃんが来たから」
たったそれだけのことで、こんなに嬉しそうに笑うのかこの人は。
そう思ったら胸がぎゅうっと締め付けられるように痛みが走った。なんだこれ。
「…さっき、なんか女の子に話しかけられてたけど
いいの?」
「女?そうだっけ?」
「…眼中に無しかい」
「じゃ、行こっかれいちゃん!」
すこぶる機嫌のいい遼くんに背中を押されながら駅を出る。
途端にムワッとした空気に包まれて、思わず息を詰めた。
「暑いからさ、冷たいものでも食べよっか」
大きな手のひらをあたしの顔の前にかざして日陰を作りながら、遼くんが笑った。
