噛み付かれるかと思うくらい勢いが良かったのに、
触れる唇はこの上なく優しい。
しばらくくっつけられていた唇は、名残惜しそうにゆっくりと離れていった。
頬を撫でる大きな手のひらが気持ちが良くて、無意識に擦り寄ってしまう。
そんなあたしを見て、遼くんはうぐっと苦しそうに唸った。
「ねえ、もうやめて…そうやって俺を煽らないで…
お願い…」
普段の遼くんからは想像もできないくらい弱々しい声だった。
言われていることがわからなくてきょとんと目の前の顔を見つめると、ため息をついてそっと抱き寄せられた。
「れいちゃんのこと好きって言ったら前よりも可愛く見えてきて困る…」
「……な、なんじゃそりゃ…そんなこと言われても困る………」
悩ましげにまたため息をついた遼くんは、我に帰ったようにバッと身体を離してあたしの顔を覗き込む。
「てかさ、キスさせてくれたってことはれいちゃんも俺のこと好きってことだよね?そうだよね?!」
普段は眠たそうな幅広二重の目が、今は無邪気にかっ広げられているせいで瞳がキラキラ光って眩しい。
その目を見ていると、自然と口から溢れていた。
遼くんにキスされて、抱きしめられて、
…嬉しかったんだ。
「あたしも、遼くんのこと好き」
