遼くんは泣き顔がお好き。




小さい声だったけど、はっきり言われた。
やけに存在感のあるその言葉に思考回路が停止する。


「…あぁ、もう…今言うつもりなかったのに…」

悔しそうに眉を寄せた遼くんは、せっかく上げた顔をまたあたしの肩へと埋めた。
そのままあたしを抱きしめたままゆらゆらと身体を揺らすから、ゆりかごにでも入れられてるみたいに視界が揺れる。


「言うつもりなかったって…なんで…」

「れいちゃんが俺のこと好きになるまで待つつもりだった。」

「ええ…」

「れいちゃんが俺のことちょー好きになったら俺も好き、って言うつもりだったのに…」


ぼそぼそと言った後、はああー、と大きくため息をついた。なんかとんでもない作戦立ててたんだなこの人。


「もう言っちゃったもんは仕方ないや。
れいちゃん、好き」

「…っ!」

「大好きれいちゃん。大事にするから、俺と一緒に居てよ」


遅れて気づいたみたいに、今更心臓がバクバクと音を立てて動き出す。

そっと顔を上げてあたしを見つめる遼くんの目はどろどろに甘い。
その目を見ていると、これ以上ないくらい速く鼓動を打つ心臓がキュウっと締め付けられた。