「あーもう、何それ。ずるくない?
れいちゃんずるいよ。俺イライラしてたのに」
イライラしてた、その言葉に身体がビクつく。
やっぱりあたしにイライラしてたんだ。
そう思うだけでぼろぼろと涙が溢れてくる。
「ほら、そうやって泣く!
…ほんっとずるい、可愛すぎる」
ぶつぶついいながらぎゅうっとあたしを抱きしめなおした遼くんの言葉に涙がピタリと止まる。
これは今、怒られてるのかと思ってたんだけど
…違うの?
「俺れいちゃんの泣いた顔好きって言ってんじゃん。
わざと泣いてんの?
泣いたら俺が怒れなくなっちゃうって分かってるから泣いてる?」
捲し立てるように責め立てられる言葉を吐かれているのに、その両腕はますます力強くぎゅうっと抱きしめてくる。
あたしの首筋に顔を埋めて頬を擦り付けた遼くんは、まるで大きな犬みたいだ。
そのまま顔をあたしの顔の前まで移動させると、
薄い茶色の目が見えた。
この目に見つめられると、抵抗できなくなりそうで怖い。
怖いのに、目がそらせない。
ぼんやりと光が射すその目を見つめていると、
低い声がぽつりとつぶやいた。
「れいちゃん、好き」
