「…なんか疲れたな」
家に帰ってお風呂に入って、自分の部屋に入った瞬間にぽつりと溢れた声。
なんか地味に色んなことがあったせいですごく疲れた。
引き寄せられるようにベッドへふらふらと近づくと、そのまま思い切り倒れ込む。
その瞬間、枕元に置いていたスマホが待ち構えていたみたいなタイミングで音を立てた。
もう遅い時間なのに、電話?
そもそもあたしに電話してくるのなんてお母さんくらいなのに。
そんな悲しいことを考えながら画面に目をやって、
着信相手を確認してフリーズした。
”美澄遼”
ど、どうしよう。
メッセージは今まで何通も送られて来たけど、
電話が来たのは初めてだ。
なんて言って出たらいい?
何を話したらいいの?
”美澄遼”
この三文字で、今のあたしの頭の中はこれ以上ないくらいに掻き乱されている。
じっとりと手汗が滲んできた手でスマホを握り直して通話ボタンを押す。
恐る恐る耳にスマホを押し当てると、
小さな低い声が聞こえた。
「…れいちゃん」
名前を呼ぶ声はいつもと変わらないはずなのに、
電話越しに聞く声はやけに大人びて聞こえる。
ただでさえ速かった心臓の音が更に速くなっていくのを感じた。
