遼くんは泣き顔がお好き。




いつのまにか頭に被せられただけになっていたフェイスタオルを取って顔を上げる。

「拭いてくれてありが…」

見上げた遼くんの顔はなぜか泣きそうに歪んでいて、
言葉がぷつりと途切れた。

え、
あたしなんか変なこと言っちゃった?

痛みを堪えるように眉間に皺を寄せ、あたしをただじっと見つめる遼くんは、口をぎゅっとつぐんだまま何も言ってくれない。

「ど、どうしたの?なんでそんな顔してんの?
あたし、なんかしちゃった?」

「……………」

「ごめん、遼くんに任せっきりにして頭拭かせたりとかして…ありがとね?」

「………………」

「ねえ、遼くん…どうしてそんな泣きそうになってんの…?」


じんわりと嫌な汗が噴き出して、ぺらぺらと勝手に口が動く。
なにを喋りかけてもぎゅっと結ばれた口は何も答えてくれない。

目の端をじんわりと赤く染めて、ただあたしの顔をじっと見つめる遼くんから
何故か目が離せない。

どうしよう。

途方に暮れて立ちすくんだあたしは、
ただその顔を見つめることしかできなかった。