遼くんは泣き顔がお好き。



「はい、チー…で海に携帯落とすヤツいる?」

「悲惨すぎる…でも面白すぎるわ…」

「冷静な相原くんもツボすぎ」

「みんな写真撮られると思ってポーズ決めて待ってたのもおもろすぎ」


ケラケラ笑うあたしたちを見て、涙目だった田道くんもつられたようにへらりと笑う。
いや、君はあんまり笑い事ではない気がする。

「まあまあ、これも思い出ってな」

「こんな思い出いらねえよ…」

肩を落とした田道くんを置いてそれぞれに海を楽しみ始めたあたしたち。
我ながら非情なメンツだと思う。


裸足になった足で波を蹴っていると、視界がふっと影に包まれた。
顔を上げると思い切り宮尾くんと目が合って、ヒュッと息を呑んだ。


「………」

「……あのさ、夏休みちょっと会えたりしない?」

「…へ、」

「あそぼーよ、せっかく夏休みなんだから。」


こ、これはもしかしなくても
デートに誘われてるのでは?

どうしよう、なんて答えたらいいのか分からない。

そもそもあたし、宮尾くんのこと好きなの?
それすらも分からないのに、遊びに行ったりしていいの?

あれ、待って。

ちょっと会えない?って2人きりってこと?
それともこのメンツで集まろうってこと?


「あの、それは、サシでって意味?
タイマンでってこと?」

「タイマン…………ふ、そうそう。
2人でってこと」


なぜか吹き出した宮尾くんはこてんと首を傾げた。


「イヤ?」

「いやとかそんなんじゃないけど…!」

なんだその目。
そんな子犬みたいな目されたら断りづらいじゃん…。