靴を脱いで浅瀬に足を浸けてみると、ひんやりしていて気持ちいい。
波が引いていくとサラサラした砂が足に絡んでくすぐったかった。
「あ!!写真とろーぜ写真!
おれセルカ棒持ってきたんだよねぇ〜〜」
フフンと得意げに鼻を鳴らした田道くんの手には細長い棒。
「準備良いヤツだな…」
「んなもんカバンに入れずに教科書入れろや」
口々に呟かれる宮尾くんたちの言葉には反応せず、
ほらほらみんな集まって!!なんて言いながら携帯をセットしていく。
「美澄くんもうちょい寄ってくんないと!!
背高いから入んないよ!」
「あ、すんません」
「はいみんなちゃんと写ってる?!撮るよ?!
はい、チー……」
歯を見せた田道くんが撮影ボタンを押した瞬間、
バシャン。
音を立てて目の前から携帯が消えた。
一瞬の出来事だったから、その場にいた全員が何が起きたか分からず固まる。
携帯の持ち主である田道くんだけは何が起こったのか察したらしく、
「あああああああああああ!!!!!!!」
悲痛な絶叫が大海原に響き渡った。
「…あーあ…まさかの水没…」
「お前これちゃんとセットされてないじゃん。
取り付け方甘かったんだよアホ」
「俺のアイポン…っ!!最近買ったばっかなのに…!!!!」
濡れてしまうのにもかまわず崩れ落ち、頭を抱えた田道くんに容赦なく追い討ちをかける相原くん。
一瞬全員が黙り込み、
次の瞬間誰からともなく吹き出した。
