「くっさ…」 小さく呟いた言葉が聞こえたのか、前を歩くスーツ姿のおじさんの肩がビクッと震えた。 ああ、違うのよおじさん。 あなたのことを臭いと言ったわけではないんですよ。 右手に掴んだビニル傘、 左の肩に掛けた鞄。 それから左手に持った弁当箱が入ったサブバッグ。 両手が完全に塞がってしまった状態に思わず小さく舌打ちをした。 これだから、雨の日の登校は嫌いだ。 雨の日特有の土臭さに眉をしかめた。