「たしかに私は、容姿でも仕事の面でも、福本さんに勝てるものがひとつもないと思います。だけど、稔さんを好きな気持ちは誰にも負けない自信があります」
「はぁ? そんなの私のほうが勝ってるわ。私はずっと瀬戸さんのことが好きだったの! それに瀬戸さんにとっても、私と一緒になったほうがいいに決まってる」
一歩も引かない福本さんは、私との距離を縮めて勝ち誇った顔を見せた。
「私の父親は、うちの会社の役員なの。私と結婚すればパイロット引退後は、それなりの役職に就くこともできるわ。……瀬戸さんはそれほど優秀な人なのよ。そんな彼は私と一緒になるべきなのよ」
意気揚々と福本さんは続ける。
「それに瀬戸さんの働きぶりを見て、父も彼のことを気に入ってるの。実地訓練を終えて副操縦士になった暁には、父から私との縁談を打診してくれると言っていたわ」
稔さんのことが大好きで、この先もずっと一緒にいたいと思う。……だけど、好きって気持ちだけで彼のそばにいてもいいのだろうか。
「それに瀬戸さん、母子家庭でしょ? 将来が約束されたならお母様だって安心するはず」
悔しいけれど、福本さんの言うことも一理ある。
彼は母親をとても大切にしていて、親孝行したいと言っていた。役員を父親に持つ福本さんと結婚すれば、彼の母親も安心するし喜ぶのでは?
第一、福本さんの父親に縁談を打診されたら、さすがの瀬戸さんも断れないのではないだろうか。
断ったっていいことなんてないし、もしかしたら彼のキャリアに傷がつくかもしれない。
考えれば考えるほど気持ちが揺らいでいく。
「それに平林さん、海外の航空会社で働きたいんでしょ?」
「どうしてそれを……?」
福本さんに知られていることにびっくりして聞けば、彼女は「ふふ」と笑う。
「平林さんってわかりやすいよね。休憩中によく海外の航空会社について調べているし、フライト先で海外の航空会社の客室乗務員に積極的に声をかけていたじゃない。だからそうだと思ったんだけど、やっぱり予想は当たっていたんだ」
笑うのをやめた彼女は、再び鋭い目で私を見る。
「だったらなおさら瀬戸さんとは別れるべきよ。……機長になるまで長い道のりで大変な時、海外にいたら瀬戸さんを支えられないじゃない」
「それは……」
「平林さんは、瀬戸さんに相応しくない。自分の夢を追いかけたいなら早く彼を解放してあげて。それが彼のためでもあるわ」
私の声に被せて言われた言葉に、なにも言えなくなる。
稔さんはお互い夢を叶えよう。同じ気球上にいるなら、いつだって会えるって言ってくれた。でもそれって彼の優しさに甘えているだけではないだろうか。
本音はそばにいてほしい、近くで支えてほしいと思っているのかもしれない。
「はぁ? そんなの私のほうが勝ってるわ。私はずっと瀬戸さんのことが好きだったの! それに瀬戸さんにとっても、私と一緒になったほうがいいに決まってる」
一歩も引かない福本さんは、私との距離を縮めて勝ち誇った顔を見せた。
「私の父親は、うちの会社の役員なの。私と結婚すればパイロット引退後は、それなりの役職に就くこともできるわ。……瀬戸さんはそれほど優秀な人なのよ。そんな彼は私と一緒になるべきなのよ」
意気揚々と福本さんは続ける。
「それに瀬戸さんの働きぶりを見て、父も彼のことを気に入ってるの。実地訓練を終えて副操縦士になった暁には、父から私との縁談を打診してくれると言っていたわ」
稔さんのことが大好きで、この先もずっと一緒にいたいと思う。……だけど、好きって気持ちだけで彼のそばにいてもいいのだろうか。
「それに瀬戸さん、母子家庭でしょ? 将来が約束されたならお母様だって安心するはず」
悔しいけれど、福本さんの言うことも一理ある。
彼は母親をとても大切にしていて、親孝行したいと言っていた。役員を父親に持つ福本さんと結婚すれば、彼の母親も安心するし喜ぶのでは?
第一、福本さんの父親に縁談を打診されたら、さすがの瀬戸さんも断れないのではないだろうか。
断ったっていいことなんてないし、もしかしたら彼のキャリアに傷がつくかもしれない。
考えれば考えるほど気持ちが揺らいでいく。
「それに平林さん、海外の航空会社で働きたいんでしょ?」
「どうしてそれを……?」
福本さんに知られていることにびっくりして聞けば、彼女は「ふふ」と笑う。
「平林さんってわかりやすいよね。休憩中によく海外の航空会社について調べているし、フライト先で海外の航空会社の客室乗務員に積極的に声をかけていたじゃない。だからそうだと思ったんだけど、やっぱり予想は当たっていたんだ」
笑うのをやめた彼女は、再び鋭い目で私を見る。
「だったらなおさら瀬戸さんとは別れるべきよ。……機長になるまで長い道のりで大変な時、海外にいたら瀬戸さんを支えられないじゃない」
「それは……」
「平林さんは、瀬戸さんに相応しくない。自分の夢を追いかけたいなら早く彼を解放してあげて。それが彼のためでもあるわ」
私の声に被せて言われた言葉に、なにも言えなくなる。
稔さんはお互い夢を叶えよう。同じ気球上にいるなら、いつだって会えるって言ってくれた。でもそれって彼の優しさに甘えているだけではないだろうか。
本音はそばにいてほしい、近くで支えてほしいと思っているのかもしれない。



