腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

いろんな方とおつきあいしている関係で、一真さんは美味しくお店に詳しかった。
そういえば、以前プレゼントしてくれたマフィンもおいしかった。
一真さんは、出張や学会で外出するたびに、何かしらおいしいスイーツをお土産に買ってきてくれる。
それが全部、私の好きなものばかりなのが毎回不思議で、「私と一真さんって食の相性が合うのかな」なんて考えたりする。

一真さんとこんな関係になるなんて、いまだに、奇跡みたいに思う。
ほんの少し前まで、私はまったく別の人と結婚の話をしていたのに。

広士に対する感情は、もう何もない。
恨みすらも持っていない。
ただ、信じていた人に裏切られたという苦い事実だけは、まだ忘れられなかった。

『清那のこと、まじで頼りにしてる』

それが、広士の口癖だった。
必要とされている気がして、嬉しかった。
ちょっと調子よく感じる時持ったけど、それが彼なりの私への愛情なのだと、疑いもせずに信じていた。

でも、彼にとって私は、ただの道具でしかなかった。