「今日の患者……実は数日前から数値が怪しかった。上司に注視すべきだって進言してたんだが……見過ごされた」
幸い患者は一命をとりとめたそうだ。
でも事前に対処できていれば、急変することはなかった。
この悔しさは、同じ医師でなければ本当には理解できないのかもしれない。
言葉に詰まる私をよそに、彼の瞳がぎらりと光った。
「俺が上司だったら、ちゃんと聞き入れた。患者を助けるために、あらゆることに目を配り、判断を迷わない組織であるべきだ」
「一真さん……」
「……早く、もっと上に行かないとな。俺が誰にでも指示できる立場に立てば、こんなことはけして起きさせない」
そうだ。この人は、上に立つべき人なんだ。
私は彼を陰ながらそっとサポートするだけだ――そう思ったの同時に、もやりとした考えも沸き起こった。
私が院長令嬢とかだったら、もっと強力に彼をサポートできたのだろうか。
でもすぐに自ら否定する。
コネや立場なんかよりも、もっと現実的なサポートが私にはできるはずだ。
「私も後れを取ってはいけないですね。もっと頑張らなきゃ」
そう言って姿勢を正すと、一真さんがふっと微笑んだ。
「ありがたいけど、他にも頑張っていいことがあるんじゃないか?」
「え? 何ですか?」
問い返すと、彼は私の耳元で囁いた。
「たとえば、俺との時間をもっと濃密に過ごすとか」
濃密⁉
不意打ちの甘い声に、全身が一気に熱くなる。
幸い患者は一命をとりとめたそうだ。
でも事前に対処できていれば、急変することはなかった。
この悔しさは、同じ医師でなければ本当には理解できないのかもしれない。
言葉に詰まる私をよそに、彼の瞳がぎらりと光った。
「俺が上司だったら、ちゃんと聞き入れた。患者を助けるために、あらゆることに目を配り、判断を迷わない組織であるべきだ」
「一真さん……」
「……早く、もっと上に行かないとな。俺が誰にでも指示できる立場に立てば、こんなことはけして起きさせない」
そうだ。この人は、上に立つべき人なんだ。
私は彼を陰ながらそっとサポートするだけだ――そう思ったの同時に、もやりとした考えも沸き起こった。
私が院長令嬢とかだったら、もっと強力に彼をサポートできたのだろうか。
でもすぐに自ら否定する。
コネや立場なんかよりも、もっと現実的なサポートが私にはできるはずだ。
「私も後れを取ってはいけないですね。もっと頑張らなきゃ」
そう言って姿勢を正すと、一真さんがふっと微笑んだ。
「ありがたいけど、他にも頑張っていいことがあるんじゃないか?」
「え? 何ですか?」
問い返すと、彼は私の耳元で囁いた。
「たとえば、俺との時間をもっと濃密に過ごすとか」
濃密⁉
不意打ちの甘い声に、全身が一気に熱くなる。



