腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

「君は普段はしっかりしているのに、いざという時は隙ばかりで困る……」

気をつけろよといつものように意地悪く笑うのかと思ったけれども、一真さんは張り詰めた顔を変えなかった。

「もしかして、さっきの人違いの話も聞いたのか?」
「……はい。美玲子さんのこと。私の前に婚約していたんですね」
「いや、俺は一度も承諾しなかった。一方的に話を勧められて、噂だけ先行したんだ。今はもう関係ない。さっきふたりと話したのは……・仕事の話だ。実は今、持ち上がっている案件があって……」

言いにくそうにしているのは、医師の仕事は守秘義務が多いからだ。
それでも私にどうにか説明しようという気持ちを見せてもらえただけで十分だ。
私は一真さんにとって理解あるパートナーでいたかった。

「いいんです、お仕事の話は。それより会場に戻らなくて大丈夫ですか」
「待ってくれ」

明るく笑って立ち上がろうとしたら、手を掴まれ抱き締められた。

「……すこし落ち着かせてくれないか? あと一足遅ければ、君があの男に何かされていたかと思うと気が気じゃなくて……」

私は静かに驚いた。
一真さんが動揺している……? 私のことで……。