腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

「……わかりました」

意外なことに、一真さんは応じた。
そして私を見ると申し訳なさそうな表情を浮かべた。

「すこし席をはずしていいか? きみも休憩するといい」
「はい」

もやもやした気持ちを隠して、私は笑顔でうなずいた。
一真さんも不本意ではないのはわかっている。
でも仕方ないのだろう。多田外科部長の時のように強く出ていい場面ではないし、相手が悪すぎる。
三人が別室に行くのを見送りながら、医師の世界も大変なんだなと思った。




その後一人になった私にいろんな人が話しかけてきてくれたので、手持無沙汰で困るようなことはなかった。
みなさん、あの一真さんの婚約者ということで興味津々のようだった。
社交は苦手ではない私も、慣れない環境では少し疲れてきた。
どこかひとりで落ち着ける場所はないかなと思っていたら、片山さんがそっと話しかけた。

「お疲れ様です。すごい人気ですね。休む間がないでしょ?」。
「いえ、みなさん温かく接してくださって嬉しいです」
「謙虚ですね。そんなところもみんな魅力的に思っているのでしょう。今夜はあなたが主役のようだ」
「そんな……。片山さんを差し置くようなつもりは」
「わかっていますよ」

片山さんは爽やかに笑った。