腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

すると一真さんが間に入ってきた。

「失礼ですが人違いをされているかと。清那さんはグローバルファーマリンク株式会社でMRをしている方です」
「まぁ、ごめんなさい……! そうでしたわよね、人違いだったわ。私ったら失礼なことを。お許しくださいね」
「あ、いえ」

ぺこりと頭を下げた奥様だけれども、頭を上げた時の顔がしてやったりというような顔に見えたのは私の気のせいだろうか。
人違いって、私の他に一真さんの婚約者になりそうな人がいたってこと?

「……では、ここで失礼させてもらうよ。今夜は楽しんで言ってくれ」

不穏になりはじめた空気を察したのか、片山さんが妻を連れて別のグループへと移動していった。
その様子を見守っていた、同じく同級生だという別の先生が、とげとげした様子でぼやいた。

「やれやれ、相変わらず夫婦そろって鼻につくやつらだよな」

一真さんは苦笑いを浮かべる。

「三十前半で外科部長だなんていい度胸だよ。院長令嬢の妻をうまくつかっているようだ」
「そんなことはないさ、あいつだって確かな腕は持っている。重職を早くに経験するのはいいことだ」

一真さんの言葉に同級生さんは鼻笑った。

「ま、腕以上に外面がいいのと要領の良さは折り紙付きだったけどな。あーあ、真面目に医者をやっているのが馬鹿らしくなるよ」
「そう腐るなよ」
「祝いの挨拶は言ったし、もういいだろ。俺は帰るよ」

言い残すと、同級生さんは帰っていった。