腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

いざ会場に足を踏み入れると、私のその覚悟はすぐにしぼんでしまった。
招待客の女性たちのきらびやかなことと言ったら、目の見張るものがあった。
まるで映画に出てくる貴婦人のようだ。

色とりどりのドレスに、遠目からでも輝きがみえるほどの大きな石であしらわれたジュエリー。
彼女たちのかたわらには、ご主人やパートナーと思われる先生たちがパーティスーツを身に着けて寄り添い、エスコートしている。

就任披露パーティとは名目。
これはハイソサエティな暮らしをする人たちの社交場なんだと思い知らされた。
凄い世界に足を踏み入れてしまった。
溶け込みそうに地味な私ときたら目も当てられない。

「大丈夫か?」

圧倒されている私を察したのだろう。一真さんが気遣ってくれた。
彼が勧めたとおり、もっと華やかなドレスにすればよかったと後悔の念がよぎる。
けど今更じたばたしてもしょうがない。気圧されたら負けだ。

「はい、大丈夫です」
「話は俺に合わせてくれればいいから。きみはいつものように明るく笑ってくれれば十分だから」
「……はい」
私は差し出してくれた一真さんの腕にしっかりと腕を回すと、会場に足を踏み入れた。