腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

「じゃあどちらかの家に行くのは? そこで仕事したり互いに自由に過ごすってことで」
「家にですか? 私の家はちょっと……!」

彼女の慌てぶりに思わずくすりと笑ってしまう。

「そんなデリカシーのないことは言わないよ。よければ、俺の家においで」

眠りに帰るしか使っていない部屋だが、一応ハウスキーパーを雇って定期的に掃除や整理整頓、洗濯や物品補充など、生活に必要なことは整えている。彼女を招いて困ることはない。
彼女は遠慮したものの、俺がそう説明するとうなずいてくれた。
そうして、いわゆるお部屋デートを初めてしたのが今日だった。

今の俺の部屋は日田総合医療病院に配属が決まった際に、知り合いの先輩に紹介してもらって決めた物件だった。
使いこなせないほどの部屋数があり、一部屋一部屋も一人には広すぎる。
清那もそのことに驚きを隠せないみたいで、しきりにすごいと言っていた。

「じゃあ一緒に暮らせば、ちょうどいい広さになるか?」

そんな無邪気な反応が可愛くてつい言ってしまうと、清那に顔を赤らめながら「ご冗談言わないでください」と笑われた。
けっこう本気なんだけどな。

でも清那は高いところはあまり好きではないらしい。
窓の外から見える景色を見ているときは、少し足がすくんでいるようだった。