腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

それから都内に戻ると、今日は一日「緑で日々の疲れをいやそうデーにしよう」と決めて、都内のいろんな公園を一緒に散歩するというデートをした。
素朴でまるで学生のころみたいなデートだったけれども、今まで雲の上の存在だった一真さんと初めて同じ目線に立てたような気がして、とても満ち足りた時間になった。

歩きながら仕事のことや普段の生活のことをたくさん話すうちに、私たちは自然と手をつなぎあっていた。
最後に一真さんが予約してくれていたホテルのレストランでディナーをする。
敬語で話す癖はどうしても抜けきれなかったけれども、彼とすっかり打ち解けることができた。
私の家の前に車を付けると、一真さんはドアまで開けてくれた。

「さぁ着きましたよ、お嬢様」

冗談めかす彼に、私はくすくすと笑いながら車から降りる。
一真さんはじっと私を見つめた。

「今日は楽しかった。ありがとう」
「私のほうこそありがとうございます。こんなに楽しい一日を男性と過ごしたのは初めてでした」
「本当に?」

彼の目が細められ、名残惜しげに私の手を握った。
私もその手をそっと握り返す。
抱き寄せられて、そっと口づけされた。
初めて交わした彼とのやさしいキスは、胸にいつまでも残るあたたかなものだった。