腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

「えっと、じゃあなんとお呼びすれば……」
「そこは任せるよ。あだ名をつけてもいいし、呼び捨てでもいい」

どちらもいただけない。
私たちはこれからも仕事上での付き合いも続ける。病院でうっかりあだ名なんかで呼んで、周りから笑われたくない。

「じゃあ、一真さんってお呼びしますね」
「無難だなぁ。どんなあだ名をつけられるか楽しみだったのに。でも、いざ呼ばれると照れるな」

少し赤くなりながら笑うその顔は、うれしそうだった。

「じゃあ俺も『清那』って呼び捨てにしてもいいか?」
「え……っ」
「名字でなんて呼びたくないよ、清那」

照れるのをほほえましく見ていた私だけれども、すぐに彼の気持ちを実感する。
先生の落ち着いた声で名前を呼ばれると、胸がきゅっとなる。
ああこの人は私の恋人なんだって、実感する。
一真さんもそう思ってくれているのかな。

「はい……じゃあ呼び捨てで呼んでください」
「うん。ありがとう。あとそれと、敬語だな」
「あ……うん……努力、するね……一真、さん」
「努力するね、ってのがまだ固い」

ぷっと笑いあい、私たちの距離が少し縮んだのを感じた。