腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

鷹宮先生だった。
その氷のような顔からは、怒気があふれでていた。

「鷹宮、おまえ、上司の私に向かって、そんな――」

鷹宮先生は、鼻で笑った。

「上司だからなんです?」

低い声は、怒りに震えていた。空気が張り詰めていく。

「あなたの黒い噂は聞いている。立場の弱い若い女性ばかり狙って、泣き寝入りさせてきたということを」
「なんだと?」
「みんな見て見ぬふりをしているが、俺は許しませんよ」

鷹宮先生は呆然としている私を抱き寄せた。

「立場や後ろ盾がなんだ。卑劣な上司に頼らなくても、俺は実力で必ず上に行ってみせます。そして、あなたような不正な人間を医療の世界から締め出してやりますよ。楽しみに待っていてください」

すごみを感じさせる鷹宮先生の笑みに、多田先生も気圧されたようだった。

「……出ていけ!」

吐き捨てるように言われ、私たちは退室した。