腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

ほっとする。
先生に告白されてから、そういう心配が気になって仕方がなかったから。
千葉先生は敬意をみせながら、しみじみと鷹宮先生のことを語った。

「彼はそれだけ医師という仕事と真剣に向き合っていて、一人でも多くの患者を救いたいっていう並々ならぬ向上心を持っているのよね。天才と言われるのも、彼の努力があってのものだと思うわ。だからみんなそんな彼のことを尊敬している。でも一方であきらめてもいた」
「あきらめていた……?」
「そう。鷹宮先生は本当に優しい人。でもそんな人だからこそ、誰か一人を特別視しないんだって」

胸の中に隠していた、もやりとした感情が身をもたげた。
私たちが両思いだとおも混んでいる千葉先生は、もちろんそんな私の反応には気づかず、にっこりと嬉しそうにつづけた。

「だから、私もみんなも、先生に特別な人ができたって驚いてるし、よろこんでもいるの。ましてやその人が美沢さんだったから余計にね。だって、美沢さんが鷹宮先生の力になりたいって誰よりも努力してきたこと、みんな知ってるもの。あんなに寄り添ってきた美沢さんなら、先生の心を射止めるのもあたりまえだって。結婚本当におめでとう。幸せになってね」
「……ありがとうございます」

心から嬉しそうに言ってくれた千葉先生に、私は頭を下げて感謝の言葉を言うしかなかった。
じゃないと、複雑な思いを感じて強張る顔を見せてしまいそうだったから。