腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

新薬のお話をすると興味を持ってくれたので、今日は資料を渡して説明する約束になっていた。

「お世話になっております、千葉先生。今日はお時間を作ってくださってありがとうございます」
「久しぶりね、美沢さん。変わらず元気そうね」
「はい、先生もお変わりなく」

千葉先生は気さくで優しいだけでなく、しっかりとしていて医師としての評判も高い方だった。
そのうえ、違う病院の先生と結婚してお子さんも二人いて、キャリアウーマンとしても尊敬できる。
私は勝手ながら頼りになるお姉さんのように感じていた。

「聞いたわよ。あの鷹宮先生とご婚約されたんですって?」

う、予想はしていたけど、やっぱりそこを突かれたか。
もう私はこの件については動じることなくさらっと流してしまおうと決めていた。

「そうなんです。ご連絡が遅くなって恐縮なのですが……」
「ついこの間噂で聞いて、もうびっくりしたのなんのって。まさか鷹宮先生がって、彼のファンの看護師たちも嘆いていたわよ」

嬉しそうな先生に、作り笑いを返す私。
内心は穏やかではない。
やっぱり、みんながみんな祝福してくれるとは限らないよね。
先生に憧れている人たちからは、私はどう映っているのだろう。