腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

立たせているのも申し訳なくて、私は向かいの椅子をすすめた。
ゆっくりと腰を下ろした先生は、少しお疲れにも見えた。
考えてみれば先生は早朝の手術から今まで休みなしだ。

「先生は今休憩ですか? 私とこうして話すお時間があったら、少しでも休まれた方が……」
「いや、あと五分で午後の診察なんだ。今は君に会いたくて来た」

ストレートな言葉に、私は頬を赤らめる。
追い打ちをかけるように、先生は声を低めてつづけた。

「朝から君に会えて、話しして、一緒に仕事までできて、ただの休息よりずっと充実した時間だったよ」

まっすぐ私を見つめてくる目には、明らかにこれまでと違った熱情がこもっていた。
胸がドキドキする。
私への気持ちは本気なんだと、苦しいくらいに実感する。

「……どうして、私なんですか?」
「うん?」
「素敵な女性は他にたくさんいるのに。先生から見たら、私なんてまだまだ小娘でしょう?」

ずっと胸につかえていた疑問を口にして、私はうつむいた。