腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

大好きな祖母が倒れて病院に搬送された時のことだ。
回復を待つまでの間、幼い私は気が気じゃなくて、ずっとお母さんの手を握りしめていた。
優秀な医師たちのおかげで、祖母は無事回復した。
きっと、鷹宮先生たちも大切な人を助けてくれると伝えたかった。

看護師さんになだめられ力なくソファに座った老婦人に、私はそっと近づいた。

「おばあさん、大丈夫ですよ。この病院の先生は皆さん優秀ですし、お薬も信頼のおけるものを使っていますから」

MRは立場上、不用意に患者と接してはいけないのは承知している。
今は同じ人として、不安に思っている人に寄り添いたいだけだ。

不審な顔をしているおばあさんに私はこの病院の関係者です、と首に下げていた社員証を掲げて見せた。
あまりよく理解していないようだったけれども、不審者ではないと判断してくれたらしい。隣に座ることを許してくれた。

気を紛らわせようと世間話をしていたら、おばあさんも気が休まってきたのか、笑顔を見せて会話を弾ませてくれた。
私も祖母を思い出しながらつい楽しく話しこむ。

やがて鷹宮先生と担当医が処置室から姿を現した。