腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

「いえ、鷹宮先生から念入りに言われましたので。『これからは俺の妻でもある人だから、お手柔らかに頼むよ』と」
「まぁ……」

頭をかく先生を見つめる私の脳裏に、その光景が浮かぶ。
きっと鷹宮先生、すごい爽やかな笑顔でおどした――いやいや、指導したんだろうな。
私は姿勢を正して高橋先生を見つめた。

「鷹宮先生はどうおっしゃってるかわかりませんが、私はこれまでと変わらず患者と向き合う先生のサポーターとして切磋琢磨していくつもりです。ですから、けして特別扱いはなさらないでください」

すると高橋先生も、居ずまいを正すとうなずいた。

「もちろんです。担当になって日が浅いですが、美沢さんがお持ちくださる資料や情報の正確さには感心していました。こんなMRもいるのかと、印象を改めていたところでした。そんなときに婚約の話を聞いて、あの鷹宮先生に見初められる美沢さんなら信頼して間違いないと思ったんです。これからもよろしくお願いします」
「……はい!」

それから高橋先生とは仕事の話だけでなく、研修医時代の鷹宮先生との思い出話にまで花が咲いて、予定を大幅に越えて有意義な時間を過ごせた。