腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

今日は先日紹介した新薬のサンプルを渡すだけだった。
すでに資料で十分説明しているので、直接渡す必要もない。
受付に預けてしまおうと声をかけた。

「グローバルファーマリンク株式会社です。鷹宮先生へサンプルをお持ちしたのですが、おあ――」
「あ、少しお待ちください」

受付の方がすかさず電話をかける。
いつもなら事務の方か、看護師さんがすんなり受け取るのにな。

「やあ、ご苦労さま」

不思議に思っていたら、ふいに聞きなじみのある声に話しかけられた。
嫌な予感がして顔を上げると、鷹宮先生がいた。
まさか、先生が直接受け取りに来るなんて……!

ぎょっとする顔を隠せない私に対して、先生は爽やかな笑顔を浮かべている。
私のもくろみなどお見通しだというような顔に見えた。

「先生、この時間は……いつも手術じゃ……」
「ああ。君に会いたくて、簡単なものだったので早く終わらせたんだ。最短記録、更新したよ」

さらっと言うけれど、もともと天才と称される人だ。最短記録って、世界記録レベルじゃないだろうか。

「メッセージ送っても、全然返してくれないから、直接会いに来た」
「す、すみません……仕事が立て込んでいて……」
「気にしなくていい。君のプライベートアドレスにメッセージを送れるのが嬉しくてやってるだけだから」

ストレートな言葉に胸が跳ねる。