「……先生も、冗談を言うんですね」
「冗談じゃない」
端正な顔は、真剣そのものだった。
「君のことが好きになったんだ。最初は後輩みたいに思っていたけど……今は、特別だ」
人が行きかう病院の廊下で、心臓の音だけが大きく響いていた。
噴き出して「やっぱり嘘だよ」って言いだすのを待ったけど、真剣な目は私を深々と見つめ続けている。
先生は私に恋愛感情を抱くまでの経緯を語ってくれた。
私の仕事ぶりに少しずつ信頼を寄せるようになったこと。
そして婚約者の件で、一気に私を見る目が変わったこと。
広士に裏切られただけでも十分すぎるほどの衝撃だったのに、さらにこんな展開が待っているなんて、思いもしなかった。
「君の心がまだ癒えていないのは分かってる。次の恋に進めるようになったら声をかけるべきなのも。でも、うかうかしていて他の男に取られる前に、どうしても君が欲しかった」
パニックになった。
私にとっても、先生は特別だった。それは神様みたいに遠い人という意味で、恋愛対象として見るなんて、考えたこともなかった。
「あの……少し、時間を……」
「それは無理だ。さっき公言しちゃっただろ? 俺と君の関係は一気に広まる。今さら嘘でしたなんて俺でも言えない。それだけ本気だってことだ」
「そん、な……!」
「断ってくれてもかまわない。俺に恥をかかせて今後仕事がしづらくなってもいいならの話だけど」
あっさり言うけど、それってほぼ断れないってことじゃない。
なんという悪巧みを考えたんだろう、この人は……!
「冗談じゃない」
端正な顔は、真剣そのものだった。
「君のことが好きになったんだ。最初は後輩みたいに思っていたけど……今は、特別だ」
人が行きかう病院の廊下で、心臓の音だけが大きく響いていた。
噴き出して「やっぱり嘘だよ」って言いだすのを待ったけど、真剣な目は私を深々と見つめ続けている。
先生は私に恋愛感情を抱くまでの経緯を語ってくれた。
私の仕事ぶりに少しずつ信頼を寄せるようになったこと。
そして婚約者の件で、一気に私を見る目が変わったこと。
広士に裏切られただけでも十分すぎるほどの衝撃だったのに、さらにこんな展開が待っているなんて、思いもしなかった。
「君の心がまだ癒えていないのは分かってる。次の恋に進めるようになったら声をかけるべきなのも。でも、うかうかしていて他の男に取られる前に、どうしても君が欲しかった」
パニックになった。
私にとっても、先生は特別だった。それは神様みたいに遠い人という意味で、恋愛対象として見るなんて、考えたこともなかった。
「あの……少し、時間を……」
「それは無理だ。さっき公言しちゃっただろ? 俺と君の関係は一気に広まる。今さら嘘でしたなんて俺でも言えない。それだけ本気だってことだ」
「そん、な……!」
「断ってくれてもかまわない。俺に恥をかかせて今後仕事がしづらくなってもいいならの話だけど」
あっさり言うけど、それってほぼ断れないってことじゃない。
なんという悪巧みを考えたんだろう、この人は……!



