腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

最近の先生は、よく私との時間を取ろうとしてくださる。
それは私を励まそうと考えているからだと思っていた。

痩せたのは自覚している。
仕事が終わると、急に気が抜けて御飯がのどを通らないし、あまりよく眠れてもいない。
幸せが突然消えた傷からまだ立ち直れていないのは自覚していた。

「先生、いろいろとありがとうございます」

私は改めてじっと見つめて、心を込めてつづけた。

「確かに傷はいえてません。でも前よりかは元気になってきました。だからもうこれ以上お気遣いくださらなくても大丈夫です。私は先生のお役に立てられれば満足です」

そんな私を、端正な顔がじっと見つめる。

「参ったな。食事に誘ったら、たいていの女性は気づいてくれるんだけどな」

独り言にも聞こえる言葉に、私は小首をかしげる。
先生は優しく目をほそめると、小さく口端を上げた。

「やっぱ君って、仕事以外はけっこう抜けてるよな。でもそういうところがいいんだけど」

何のことだろうと私は彼を見つめ返した。
茶色がかった魅力的な瞳。どこか熱が宿っているように感じて、かすかに胸が高鳴った。

「お、美沢くん」

そこへ中年の医師が声をかけてくる。
我が社の薬を使ってくださっている佐藤先生で、何度か情報提供をしたことがある方だ。