腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

返しづらい冗談に、私は苦笑する。
最近は、こういうことを言って私の反応を楽しんでいる節も感じられて、戸惑ってしまう。
私の返事は待たず、先生はおもむろに立ち上がった。

「さて、そろそろ戻ろうかな。長居させて悪かったね」
「いえ。こちらこそ、お忙しいのにお時間をいただいて」
「楽しかったから、気にしないで」
「このあとはご帰宅ですか?」
「いや、手術が二本入ってる」
「え……本当ですか?」

思わず言葉を失う。
そんな大切な時間を私に割いてくださったの? 準備や休息にあてられたのに。

「すみません……ご無理をお願いして」
「無理なんかしてないよ。この時間を指定したのは俺だろう?」

恐縮する私にあっけらかんと言うと、先生はどこか含みを持たせた声で続けた。

「そんなに俺の時間を気遣ってくれるのなら、今度、ゆっくり食事でもどう? もちろん、プライベートで」
「……え?」

唐突な誘いに言葉が詰まる。