お互い、あれ以降は何事もなかったかのように仕事上の付き合いを続けている。
だが俺の内心は、仕事相手の枠も応援したい後輩の枠も、とうに超えていた。
彼女が病院に来ると、心が浮き立つ。
彼女が笑えば嬉しく、俯けば理由を知りたくなる。
これまで付き合った女性は何人かいた。
けど、こんなふうに心をかき乱されるのは初めてだった。
三十二歳にもなって、こんな初恋みたいな気持ちになるなんて、俺は何やってるんだ、と心の中で苦笑する。
『恋に年齢は関係ない』
先ほどのおばあさんの言葉が、じわりと思い浮かんだ。
そして、『先生になびかない子はいない』という励ましの言葉も。
もちろん俺は、初恋に悶えるような初心な男ではない。
本気になった相手には、本気で向き合う。
「このあと、少し時間はある? カフェで話したいんだが。今月の新作、なかなか美味しいからおごらせてもらうよ」
「え? いえ……おごってもらうのは遠慮します。仕事中ですし……」
「固いこと言わない」
困った顔をする彼女。
俺が本気でモーションをかけたら、彼女はもっと困った顔をするんだろうなと思うと、少し胸が高鳴ってしまう。
でも彼女はまだ傷心を抱えているということも忘れない。
焦らず、でも確実に。
彼女は必ず俺が幸せにする。
※
だが俺の内心は、仕事相手の枠も応援したい後輩の枠も、とうに超えていた。
彼女が病院に来ると、心が浮き立つ。
彼女が笑えば嬉しく、俯けば理由を知りたくなる。
これまで付き合った女性は何人かいた。
けど、こんなふうに心をかき乱されるのは初めてだった。
三十二歳にもなって、こんな初恋みたいな気持ちになるなんて、俺は何やってるんだ、と心の中で苦笑する。
『恋に年齢は関係ない』
先ほどのおばあさんの言葉が、じわりと思い浮かんだ。
そして、『先生になびかない子はいない』という励ましの言葉も。
もちろん俺は、初恋に悶えるような初心な男ではない。
本気になった相手には、本気で向き合う。
「このあと、少し時間はある? カフェで話したいんだが。今月の新作、なかなか美味しいからおごらせてもらうよ」
「え? いえ……おごってもらうのは遠慮します。仕事中ですし……」
「固いこと言わない」
困った顔をする彼女。
俺が本気でモーションをかけたら、彼女はもっと困った顔をするんだろうなと思うと、少し胸が高鳴ってしまう。
でも彼女はまだ傷心を抱えているということも忘れない。
焦らず、でも確実に。
彼女は必ず俺が幸せにする。
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