腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

結婚生活を先取りしたような環境だったけれども、ふたりで住むのは緑多い庭付きの家がいいと話していた。
康太くんの件については、院長も同じように感謝の念を抱いてくれたそうだった。

「院長にも言われたよ。『君と彼女は最高のパートナーだ』って」
「そんな……でもありがたいです。我が社にまで厚く信頼をお寄せくださって」

これを機に、院長の方針により、日田総合医療病院の全科にグローバルファーマリンク株式会社のMRが担当に就くことになった。
この功績を買われ、私は日田総合医療病院の担当を統括するマネージャーに昇格した。
身に余る評価に私は恐縮しつつも、ますます気合を入れていた。

一真さんもまた、世界的にもまれなケースの治療を軌道に乗せた実績を高く評価され、ますます医療界での存在感を高めていった。
日田総合医療病院内での昇格も時間の問題だろう。

私たちはますます多忙を極めることになる。
きっとすれ違うことや誤解をうみだすことも増えるだろう。
でも、不思議と不安はない。

「君となら、この先どんな困難でも越えていけるな」

一真さんそんな言葉に胸を震わせつつも、私も彼に笑いかけた。

「はい。私もそう思います」

キスを交わす代わりに、握手するように手を繋ぎあう。
私のその指には、婚約指輪が光っていた。