腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない


院長に一方的に進められたことに不快に思い、自分に好意を持っていた美玲子さんの純粋な気持ちまで冷たく拒絶してしまったことを後悔していたのだ。
美玲子さんが離婚したてて情緒不安定だったという事実も、優しい彼の心を動かすものになった。
そこで、あのようにカフェなどに行って気分転換を促しながら、彼女を励まし、薬剤投与への理解も得ようとしていたのだった。

「でも確かに親身になりすぎていたかもしれないな。君に勘違いさせたのは俺の落ち度だ。……すまない」

私をまっすぐに見つめる強張った顔からは誤魔化しは一切感じず、誠意だけが伝わった。

「それと、連絡もおろそかになっていたことも申し訳なかった。守秘義務があったとはいえ、もう少し丁寧にうまく君に伝えることはできた。きみに甘えていたんだと思う」

一真さんは自嘲し、それから真剣なまなざしを向けた。

「俺は君を道具だなんて思ったことは一度もない。たしかにきみは有能で、なくてはならない存在だ。でもだから必要としているんじゃない。君だから特別なんだ」

思わず視界が滲む。

「私の方こそごめんなさい……。あなたを思うばかり、変な邪推ばかりして、勝手に不安になって……」
「きみが謝ることは何もない。悪いのは俺だ」

ぎすぎすになってしまった心が、彼のそのまっすぐな言葉で潤い、再生し、満たされるのを感じる。
私は大きくうなずくと、微笑んだ。