どうしてこの人はいつまでも立ち止まっているのだろう。
小さな命が必死に闘っているというのに、
パンッと乾いた音が響いた。
私は振り上げた手を静かに下ろし、痛む頬に手を添えて唖然とする美玲子さんをまっすぐ見据えた。
「しっかりしてください。母親が冷静にならなくて、どうするんですか」
「……よくも……ただのMRごときが……! 訴えて――」
「美玲子さん」
一真さんの、鋭く力強い声が空気を断ち切った。
「彼女はただのMRではない。あなた方に提示した資料のほとんどは、彼女が作成したものです」
「……この人が……?」
院長が驚いたように声を漏らす。
「そうです。これなら信頼できると一番評価していたのは、院長ご自身でしたね」
院長は深く息をつき、私を見つめて目を伏せた。
「彼女は我々医療チームに次いで、あなたと息子さんを支えている存在です。“ごとき”などという言葉は、二度と口にしないでください」
美玲子さんは完全に言葉を失った。
私は一歩前に出て、静かに口を開いた。
「差し出がましい真似をして申し訳ありません。医師の先生方には到底及びません。ですが、この薬については、誰よりも詳しい自信があります」
私は落ち着いた声で、院長と美玲子さんに言った。
「薬について、もう一度、私から説明させてくださいませんか」
小さな命が必死に闘っているというのに、
パンッと乾いた音が響いた。
私は振り上げた手を静かに下ろし、痛む頬に手を添えて唖然とする美玲子さんをまっすぐ見据えた。
「しっかりしてください。母親が冷静にならなくて、どうするんですか」
「……よくも……ただのMRごときが……! 訴えて――」
「美玲子さん」
一真さんの、鋭く力強い声が空気を断ち切った。
「彼女はただのMRではない。あなた方に提示した資料のほとんどは、彼女が作成したものです」
「……この人が……?」
院長が驚いたように声を漏らす。
「そうです。これなら信頼できると一番評価していたのは、院長ご自身でしたね」
院長は深く息をつき、私を見つめて目を伏せた。
「彼女は我々医療チームに次いで、あなたと息子さんを支えている存在です。“ごとき”などという言葉は、二度と口にしないでください」
美玲子さんは完全に言葉を失った。
私は一歩前に出て、静かに口を開いた。
「差し出がましい真似をして申し訳ありません。医師の先生方には到底及びません。ですが、この薬については、誰よりも詳しい自信があります」
私は落ち着いた声で、院長と美玲子さんに言った。
「薬について、もう一度、私から説明させてくださいませんか」



