腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

でもすぐに、その表情は苦笑に変わった。

「……なんて言いたいところだけど、最近は本当に忙しかったんだ」

そう前置きして、彼はここ最近の状況を話してくれた。
やはり、あの難病の件が大きいそうで、検査、手術計画、薬剤使用、術後管理――と前例がほとんどないからこそ、何度も検討を重ね、昼夜を問わず動いているらしい。

「海外の病院に日帰りで相談しに行ったこともあった。あの時は丸一日連絡できなくて、本当にすまなかった」

想像以上の激務に、胸が締めつけられる。

「正直、俺も君に会いたかった。何度、そばにいてほしいって思ったか……」

その言葉に、胸がとくんと震える。
けれども、これは演技かもしれないと構えてしまうほどに、私の心は不安定になっていた。

「今度の休日、少し時間が取れそうなんだ。よかったら、ふたりで行きたいって言っていたカフェに行かないか?」
「日田総合医療病院の近くの、あそこですか」
「うん」

私は、一呼吸置いた。

「でも……一真さんはもう詳しいんじゃないですか?」
「……え?」

彼の表情が、わずかに強張る。