腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

医師同士でMRの評価をしあうこともあるんだな。
どちらが使いやすいか、役に立つか、まるで道具を比べるみたいに。

最近の私はおかしかった。
一真さんの言葉や態度を、以前のように素直に受け取れなくなっている。
その裏にある意味や真意を、無意識に探ってしまう自分がいた。
彼を慕う気持ちは変わらないのに、以前のように純粋に信じることができない。
それが苦しかった。

「……どうした? 顔色がよくないな」

一真さんが心配そうに、私の顔を覗き込んでくる。

「無理をさせたな……。今日は早退したほうがいい。このあと急ぎの仕事はあるか?」
「いえ……ありません」
「なら、よかった」

ほっとしたように微笑む表情に、胸がきゅっと締めつけられる。
心の底から私をいたわろうとしてくれる気持ちを感じて、ひどく恋しい気持ちに駆られる。

「あの、一真さん……もしよろしければ、これから少し休憩に付き合ってもらえませんか? コーヒーを飲むだけでいいので……」
「ん? もちろんいいよ。でも、君から誘うなんて珍しいな」
「……あなたと、お話がしたくて」

仕事の話ではなく、今度行くカフェの話とか日常のこととか、他愛のない話がしたかった。
彼はプライベート用のスマホを手に取り、私と一緒に診察室を出ようとした――その時。
診察デスクに置かれた仕事用の携帯が、引き留めるように鳴った。