腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

世界中の症例を洗い出しエビデンスをまとめ、五歳の子どもであることを踏まえた薬剤の有効性と安全性を調査する。
小児科担当の同社内のMRとも連携し、深夜まで資料と向き合い、何度も上司に確認もとった。
頼りにされたからには、絶対に妥協したくない。
その一心で、私は資料を完成させた。

資料は二回に分けて提出することになっていて、今日は残りを届けに来ていた。

「一真さん、お待たせしました。追加で必要だったデータ、こちらにまとめました」
「……すごいな。ここまで調べてくれたのか。本当に助かる。ありがとう」

彼はすぐに資料に目を通し、感嘆したように息を吐いた。

「先にもらったデータをチームに共有したら、みんなよくできているって褒めてたよ。小児科の担当医も、子どもの体をよく理解した内容だって感謝していた」

一真さんは少し声を落として続けた。

「正直に言うと、小児科は別会社のMRとも付き合いがあるんだ。でも、君の仕事ぶりのほうを評価していた。俺も誇らしかったよ」
「ありがとうございます……」

ほっと胸をなでおろす。
けれど一方で引っかかるものを感じる。