腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

付き合ったばかりの頃は、一真さんに喜んでほしくてヘアスタイルや化粧に気をつかった。
でも忙しさに追われていたら、気付けば化粧も薄くなっていたし、ヘアスタイルももとの一本縛り。
愛されていることに甘えて、女として磨くことを怠っていた。

ふいに、あの美玲子さんの姿が浮かんだ。
普段着でも化粧が薄くても、洗練された美しさが目が引く女性だった。

『あなたはね、ただの道具なのよ』

忘れようとしていた言葉が、胸に突き刺さる。
もし道具なら、深い関係になる必要なんてないわよね……。
私は胸の中でかぶりをふった。違う、一真さんは、そんな人じゃない。

「――清那?」
「……はい?」

さっきから呼ばれていたことに、ようやく気づいた。

「やっぱり疲れているんだな。今日はもう休もう。俺のベッドで休むといい」

そう言って、彼は私を寝室へ案内すると、自分は別室に行ってしまった。
その夜私は、ほとんど眠れなかった。




一真さんから依頼された、患者の難病に関する調査は想像以上に大変だった。