腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

あれこれ考えていると日田総合医療病院に着いた。

廊下を歩いていると、鷹宮先生の姿が見えた。
普段は忙しくて診察室にこもりきりなのに珍しいなと思ったら、

「美沢さん。ちょうどよかった」

鷹宮先生が別室に私たちを呼んだ。
普段は雲の上の存在に近い先生に声をかけられて、広士は興奮を抑えて腰を低くした。

「古い話になるんだけれども、以前使わせてもらった薬剤の資料を見せてもらいたくて。今もちあわせはある?」

先生が見せてきたのは、本当に古い薬だ。

「今お調べします、少々――」

私が端末で調べようとすると、先生が引き留めた。

「美沢さんには昨日の薬の件で話したいことがある」

君が調べてくれる? と先生は広士をみた。

「あ、はい、少しお待ちください」

一瞬「なんで担当外の俺が?」という顔をしたものの、広士は端末を開いた。
彼を残して私と別室に入ると、先生はそっとささやいた。

「大丈夫だな。今日は腫れてないな」

なんのこと? と思ったが理解するなり私は顔を赤らめる。