腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

「一真さんは、けして医療をおろそかにするような方じゃありません。もし、私と患者を天秤にかける場面が来たとしても、その時は、私は喜んで天秤から降ります。それが私の覚悟です」

美玲子さんは失笑したかと思うと、嘲るように高笑った。

「本当におめでたい人。業界外の人間は、これだからだめなのよ。今の言葉、何を意味しているか分かってる?」

美玲子さんは、冷たく言い放った。

「つまり、彼の仕事のためなら、あなたは“それ以外”になってもいいってことでしょ。仕事より下に置かれても構わない。都合のいい存在でもいいって認めたのと同じよ」
「なっ……」 
「あなたはね、ただの道具なのよ。情報を提供するだけの都合のいい存在。まぁ、MRごときから得られるメリットなんて、他を差し置いて最新薬の知識を得られるって程度だけど」

嫌味に満ちた言葉が、胸に重くたまるのを感じた。
私が、一真さんの道具?