腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

「もう聞いているでしょうけど、もともと私と彼の間には、婚約の話が出ていたの。それなのに、あなたみたいな何も知らないただのMRと婚約したせいで、彼は出世の道を先延ばしにしてしまった。あなたも彼も、不幸になるだけよ」
「……何をおっしゃって……変な言いがかりはやめてください」

いくらこの大病院の院長の娘とはいえ、いきなり現れたかと思えば、なんて無礼なことを言うのだろう。
湧き上がる不快感を抑えて深呼吸すると、私は冷静に返した。

「鷹宮先生や私を思ってのご助言は感謝いたします。でも、彼はそういった前時代めいたやり方が嫌で婚約を断ったと聞いていますが」

言い切った私に、美玲子さんは鼻で笑った。

「ふふ……やっぱり、何も分かっていないのね。これだから、一般庶民は嫌だわ」
「……どういう意味ですか」

医者の妻になる覚悟が足りない、とでも言いたいのだろうか。
確かに、困難はあるだろう。
それでも一緒に乗り越えていけると私は信じているし、そのための努力は惜しまないつもりだ。
私は、はっきりと言った。