腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

声をかけられて振り向くと、私と同じくらいの年齢の女性が立っていた。

その整った顔立ちには見覚えがある。
あの披露パーティで顔を合わせた、この病院の院長令嬢である美玲子さんだ。

スカートにブラウスを合わせて普段でもきれいな身なりをしているけれども、あの時より、どこか華やかさがかげって見えるのは、薄い化粧と、無造作に下ろした髪のせいだろうか。

どうしてこの人がこんなところに?
この人も医療従事者なのだろうか? でも……。
と巡らせていると、私を値踏みするように、上から下まで視線が走る。
その氷のように冷たい瞳に嫌な予感がして、思わず背筋が伸びる。

「はい……あの、何かご用でしょうか」
「あなたに、一つ忠告をしに来たの」

高慢な口調で、有無を言わせず言葉を続けた。

「鷹宮先生との婚約、諦めたほうがいいわ」
「……は?」