腹黒ドクターの独占欲は、傷心MRを離さない

「本当にごめん。この埋め合わせは、必ずするから」
「もう、気にしないでください。……と言いたいところですけど」

私は少しだけ冗談めかして続けた。

「お腹はぺこぺこなので、これからどこかファミレスでも寄って、奢ってください」

一真さんは笑ったけれども、すぐに申し訳なさそうな顔になった。

「ごめん……そうしたいんだけど、このあとチームで今後の治療方針を決めることになっていて……」
「大丈夫です。ちょっと困らせてみたかっただけですから」
「……本当にごめん」
「もう、さっきから謝ってばかりで、一真先生らしくないですよ」

彼の大変さは、ちゃんと分かっている。
私は彼の一番のサポーターでいたい。

「ありがとう。君ほど俺を理解してくれる人はいないよ」

抱き寄せられて、彼の唇がそっと落ちてきた。
それは、想いを確かめ合うような、長くやさしいキスだった。




一真さんとの打ち合わせを終え、閉院間際で人影のまばらなロビーを歩いていたときだった。

「――美沢さん、よね。少し、よろしいかしら?」