三角屋根の下で 君と

そんな時間を過ごしていると、建物の向こうから泱が歩いてくるのが見え、胡桃は咄嗟に悠人の右手を自分から強く握ってしまうと、悠人がそれに応えるように胡桃の左手を握り返してくれた


『2人でずっと花火‥してたのか?』

泱‥‥

どうしよう‥‥泱の顔が何故か真っ直ぐ見れない‥‥

凛はどうしたの?なんで一緒に居ないの?

聞きたいけど、聞いてしまったら2人があそこにいた事を知ってることになってしまう‥‥ッ

いつも通り明るく普通に返せばいいのに、胡桃は喉の奥が詰まったように声が出せない


『さっきここにきて始めたばかりだよ。まだ向こうに花火沢山あるから泱もやって来たらいいよ。』

2人に見えないように手を握ってくれている悠人が、胡桃を助けるかのように自然に話してくれたことに安堵したのに、次の瞬間泱が私の隣に腰をおろし下から私の顔を覗き込んだ

「‥‥な‥何?」

彫刻のように美しい泱の顔に、変に冷や汗が出そうな私は、気付かれないように咄嗟に悠人から左手をそっと離すと泱と視線を合わせた


『胡桃と話がしたい』

ドクン

右隣には泱‥左隣には悠人がいる‥‥

凛とのあんな場面に遭遇した直後に、泱と何を話したらいいのだろう‥‥
そして‥これから何を聞かされるのだろう‥‥

その答えに‥私‥ちゃんと笑顔で答えられる?

「‥ここで話せない事なら、ブルーで聞く。今はみんなが楽しむ時間だから泱にも楽しんで欲しい」

とてつもなく泣きそうになる気持ちを堪えてから泱に正直に伝えた

今、みんなが純粋に楽しむ声が沢山聞こえる中で、雰囲気を壊す事だけは絶対にしたくなかったからだ。

『ん‥‥分かった。でも俺もここにいる』