三角屋根の下で 君と

『彼女はいないよ。今は‥気になってる子は出来たかな』

「そっかぁ‥いいな‥羨ましい‥。』

『ハハッ‥羨ましいの?望月さんはさ、泱のこと好きだと思ってたけど違った?』

「えっ!?ち、違うよ‥‥泱とは幼馴染みだし‥‥‥。」

何度もなんども色々な人にそう聞かれて来た台詞も笑って返して来たのに、今初めて幼馴染みなのかが分からなくなっている

前みたいに泱と接したいのに、今までしなかった事をされて上手く返せてるか自信もない

私‥こんなに臆病だったかな‥‥


『望月さんさ、予選会が落ち着いた頃予定とかなければ2人で何処かに出掛けない?』

えっ?

「‥えっと‥‥私と?」

『ん‥望月さんと』


星空を眺めていた胡桃が驚いて悠人の方を向くと、人差し指で鼻の頭をかきながら照れる悠人に胡桃まで意識して顔が赤くなる

「初めてそんな事言われた‥‥」

『俺も初めて言った‥』

泱や凛、部活の仲間と出掛けることはあっても、異性から誘われた事がなかっただけに、
どう返事すればいいか分からない

『普段さ‥部活でしか関われないからもっと知りたくてさ。綺麗な子だなって思ってたから』

ドキッ

綺麗な子って‥‥嘘でしょ‥‥?

言われ慣れていないだけに、顔にまた熱が集中し、思わず両手の手の甲で頬に触れる

「ッ‥‥なんて言ったらいいか分からないけど
‥‥ありがとう‥‥ッ」

悠人のことは同級生で、泱の友達でバレーボール部の1人としか見て来なかった胡桃が、初めて異性として意識した瞬間はただただ静かで、羽織った上着からの慣れてない香り一つにも心音がずっとうるさかった